作者の横顔
翻訳の世界に足を突っ込んで9年になります。この間、片足を突っ込んだのが翻訳会社でのキャリアとすれば、もう片足は翻訳者としてのキャリアでした。

翻訳会社時代は今振り返るといったい当時何者だったのだろうかと思うほど、多岐にわたる仕事を経験していました。翻訳者から仕上げられてくる翻訳文のチェックを行ったかと思えば、その一時間後にはクライアントの窓口として人と会っていたり、また翻訳者の窓口でもあったので原稿の内容に合った発注を行ったり入稿を管理したりする責任もありました。見積書や請求書なども自分で作成したりもしますし、要は仕事の入り口から出口までのすべての仕事をやっていました。これらの職責の中で、もっとも苦労したのは翻訳者の手配です。翻訳者の特徴や実力は、“手配師”として、相当の人数分頭にきちんと入っていましたが、翻訳者はたいてい複数の翻訳会社に掛け持ちで登録しているためスケジュールが他の会社に押さえられていると手配に困ることがあります。(もちろん膨大な翻訳者リストの中では仕事をやりたい人は多いのでしょうけど、内容に適した翻訳者でないといけませんから。。。)どうしても手配ができずに困ったときには、「発注したことのない実力の未知数の翻訳者に頼むよりは自分でやってほうがいい」と、自分で翻訳を担当したこともしました。営業部マネージャーに抜擢されてからは社内全体のマネジメント、業務スケジュールの調整も大きな職責でした。

さてもう片足ですが、翻訳会社で勤めるようになったのが「選択」とすれば、翻訳者になったのは「成り行き」です。もっとも、最終的には選択ということになるのでしょうけれども、そのきっかけは「仕方なく」でした。それは、スケジュールが詰まって担当できない翻訳者のピンチヒッターで翻訳をしたのがきっかけでした。その結果なんと、相性がよかったのか、「感心しました」と言われ、すっかり「自分には翻訳センスがあるぞ」なんてできあがってしまいました。

翻訳者の皆さんの尻を叩いていた頃はその面白みはわからず、むしろやりたいこととはゆめゆめ思っていませんでしたが、やってみると意外や意外、翻訳というお仕事、とても面白く、人気があるのもわかります。もちろん同時に難しく誠実にやろうと思うとそれは大変な仕事なのですが、その大変な部分でさえわたしの場合全部が全部苦には思えず、半ば楽しくも思え、自分が翻訳の仕事に合うように思えました。初回の仕事以来、すっかりそれまでのレギュラーの翻訳者の翻訳よりも気に入られ、次々と続き物の仕事が入るようになり、当初は翻訳をそのまま職業にすることは考えていなかったくせに、屋号を付けたりして、まんざらでもなくなってきました。また人の繋がりで紹介などもあり少しずつクライアントの幅も広がっていきました。

そうこうしているうちにクライアントの勧めで、法人化することになりました。やはり世の中「個人より会社のほうが仕事が出しやすい」ようです。法人化にあたっては、以前から温めていた、翻訳者や発注者に喜んでもらえるだろう一つのアイデアを事業化したいと考えました。その後時間がかかりましたが、ビジネスモデル特許の出願などを経て、なんとか昨年サービスオープンしました。(翻訳会社・個人の翻訳者を選べる翻訳とらいある

いまは専らそのサービスを普及させることに勤しむ私ですが、仕事以外の時間はたいてい、今年の1月から我が家の一員となった犬の世話をしています。(いや、世話をしているというよりも、癒してもらっています。いつもありがとう、アンコ。)

ほかに家族は妻がいます。仲は普通にいいですが、最近は犬の取り合いの毎日で、たまの夫婦げんかも犬の餌のこととかです。・・・こんなところでしょうか。

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